« 2007年8月 | トップページ | 2007年11月 »

2007年10月29日 (月)

街並み灯り路・五個荘

Dscn1285

 五個荘は、滋賀県の湖東平野の中部にあり、古くから中山道の要衝として栄えた土地だという。
 そして江戸時代に入ると俗に言う五個荘商人が台頭、天秤棒一本で大商人となった人々が築いた町並みの面影を、今でもこの町のいたるところで見ることができる。
 中でも金堂地区の白壁、土蔵、舟板塀が続く町並みは時が止まったようにも見え、そこにはなつかしい日本の風景がある。
 この五個荘で今年の9月に「街並み灯り路・五個荘」というイベントが実施された。近年、地方観光地の街並みライトアップはそう珍しくないものになって来たが、五個荘のように普段かなり静かな地域で、こういった催しが打たれるのには少なからぬ驚きがあった。
 駐車場が満杯になってしまうのを懸念して、日暮れ前に五個荘に入ったのだが、町の人々や関係者が慌ただしく直前準備に動き回る熱気が感じられて、かえって良かったかも知れない。しかし小径際に行灯を等間隔で並べていく事自体相当な手間だと思われた。
                                                        Dscn1328  又、街のライトアップだけに留まらず今回のイベントには様々な企画が催されていたようだ。
 例えば大きなお寺さんの構内に飾られた色鮮やかな抽象画がライトアップされ暮れなずんでいく商人町五個荘に不思議な異次元の窓を開けていたりとか。
 残夏の夕暮れの下、金堂通り等の催しのメインロードでは、灯籠に灯りが灯され着々と準備が終わりつつあり、地元の人達や観光客の表情に期待でほんのりと上気した色が見え始める。
 有名な鯉の泳ぐお堀際に三脚を立てて、ライトアップの完全実施を待って陣取っている沢山のアマチュアカメラマンの群、確かにここは絶好のロケーションだろう。

Dscn1361  日没までにはまだ少し時間があるようだったので夕食を摂ることにした。
 「めんめんたなか」は裏通り、五個荘という商人町が途切れて、滋賀という地方の田園風景が見え始める場所にある手打ちのうどん屋である。
 このうどん屋が位置する四つ角には時代劇でしかお目にかかれないような一メートルほどの行燈灯籠が立っていて、強烈な郷愁を誘っている。
 しばらく妻と二人で、自分たちの住む水中に墨をたらし込まれた金魚みたいな気分になりながら、人気のない五個荘の裏通りの町並みを眺めていた。
 確か、昔、我々の周囲にはこんな心を絞るような寂しい夕暮れ時があったんだと、暫く感傷に耽ってから重要文化財になっていそうな面構えのうどん屋に入った。
 旧家然とした座敷に案内されて膝をつき合わせながら二人で手打ちうどんを啜る。
 そしてファミレスの煌々とした照明とは正反対の陰影を持つ和室にくつろぐ。
暫くすると妻の肩越しに見える庭の灯籠に火が点った、、外はすっかり闇に覆われているのだろう。

 町内を流れる堀は天保川という名前らしい。中でも金堂町では、その堀の中に浮かべるようにフラワーデザインが設置され水中ライトによる幻想的なライティングが施されている。
 アートフラワーが水中からの光で自らの影を背後の白壁に落とす様は、ライトに凍り付いた花の色彩と相まって、観る者を幽玄の境地へ引き込んでくれる。
 さあこれから腰を据えて、ざっと下見をして置いたポイントを見て回ろうかと思い始めた途端、雨がぽつりぽつりと降り始めた。
 水面に雨粒が生み出す輪が暫く重なり広がって行ったかと思うと、やがて白濁した飛沫だけがその表面を覆いだす。
Dscn1354  天気予報では、雨とは一言もなかったので、にわか雨なのだろうが、それにしては、その勢いは本降りで空の様子はかなり重い。
 傘等、二人とも用意していなかったから、急いで退散した。
 残念な事は残念なのだが、それ程、口惜しくはなかった。
 9月の祭りに雨はつきもの。
 人の苦労も努力も、空模様の成すがままに、、そういった気分にさせる優しさがこの「街並み灯り路・五個荘」というイベントにあったからかも知れない。 












Dscn1347

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年8月 | トップページ | 2007年11月 »